これまで数多くの現場を監督してきた立場から断言できるのは、工事中に施主が完全に退去してくれる現場の方が、圧倒的に品質が高く、工期も短縮できるということです。住みながらのリフォームでは、職人は常に生活者への配慮を求められます。工事のたびに道具を細かく片付け、通路を確保し、毎日の清掃を完璧に行わなければなりません。これには膨大な時間が割かれ、本来の作業効率を著しく下げてしまいます。また、養生にも限界があり、どれほど注意しても家具や衣類に粉塵が付着するのを完全に防ぐことは不可能です。何より、職人と施主がお互いに気を遣いすぎる環境は、作業の質に微妙な影響を与えかねません。工事のプロとして推奨する仮住まいの形は、やはり「現場から徒歩圏内、または車ですぐの場所」の確保です。理由は、施主が気軽に現場を確認に来ることができるからです。リフォームの現場では、壁を剥がしてみなければ分からない不具合が必ずと言っていいほど見つかります。その際、現場ですぐに施主と対面で打ち合わせができれば、意思決定が迅速に進み、工事が停滞することはありません。最近では、大手リフォーム会社が仮住まい専用の提携マンションを定価の3割引き程度で提供するサービスも充実しています。また、地元の不動産屋には、一般には公開されていない「短期貸し可能物件」のリストがあることも多いので、早い段階で相談に行くことをお勧めします。1週間や2週間の短期であれば、利便性の高いビジネスホテルで割り切るのも良いでしょう。費用を気にして住みながらを強行した結果、精神的な疲れから夫婦喧嘩が増えたり、職人に不満をぶつけてしまったりするケースを何度も見てきました。リフォームという大きな事業を、職人と施主が「最高のチーム」として成功させるためにも、適切な距離を保てる仮住まいの確保は、予算をかける価値のある投資なのです。最初から予算の中にしっかりと組み込み、無理のない資金計画を立てることで、工事中も心穏やかに新居の完成を待つことができるようになります。
工事のプロが語るリフォーム中の引っ越しの重要性と選択肢