壁紙のリフォームにおいて「何メートル必要か」という問いへの答えを複雑にするもう1つの要因が、壁紙自体の幅と素材の種類です。日本国内で流通している一般的な「国産壁紙」は、先ほどから述べている通り、有効幅が約90センチメートルから92センチメートルに設定されています。これは日本の建築モジュールである「尺」に基づいた設計であり、6畳間であれば30メートルから40メートルという計算が成り立ちます。しかし、最近インテリアにこだわりのある層に人気の高い「輸入壁紙」を選ぶ場合は、計算の前提が根底から覆されます。ヨーロッパやアメリカから輸入される壁紙の多くは、幅が約53センチメートルと、国産品の約半分強しかありません。そのため、同じ6畳間の壁を埋めるためには、国産品の約1.7倍から2倍近い長さが必要になります。例えば、国産品で35メートル必要な部屋であれば、輸入壁紙なら60メートルから70メートルを用意しなければなりません。さらに、輸入壁紙はロール(10メートル巻)単位で販売されることが多いため、計算した長さよりも切り上げで多く購入する必要が出てきます。素材による違いも無視できません。最も一般的なビニール壁紙は、ある程度の伸縮性があるため、多少の計測ミスや貼り方の歪みを吸収してくれます。しかし、紙壁紙や織物壁紙、さらには自然素材を用いたエコクロスなどは、一度のりを塗ると伸び縮みが激しかったり、逆に全く伸びなかったりと、扱いが非常にデリケートです。これらの素材は、プロでも失敗のリスクを考慮して、通常よりも2割以上多いメートル数を確保して現場に臨みます。また、生のり付きタイプか、のりなしタイプかによっても、作業のスピードとロスの率が変わります。のりなしタイプは自分のペースでのりを塗れるため、長さを微調整しやすいですが、生のり付きタイプは開封後、のりが乾くまでの時間制限があるため、焦りからカットミスを誘発しやすくなります。このように、6畳という面積は共通でも、選ぶ壁紙が「国産の無地」なのか「輸入の柄物」なのか、あるいは「高機能な自然素材」なのかによって、準備すべきメートル数は30メートルから80メートルまでと、驚くほど大きな幅が生じるのです。リフォームを計画する際は、まず自分の理想とする壁紙がどのカテゴリーに属するのかを確認し、その幅と特性に合わせた「専用の計算」を行うことが、予算オーバーや材料不足を防ぐ唯一の方法です。カタログの美しさに目を奪われる前に、まずはその背後にあるスペック数値をしっかりと読み解くことから始めましょう。